
業績好調のANAを支える予約センター ヘッドセットの音質にこだわりCSアップ
航空業界トップを目指し増収増益路線をひた走る全日本空輸(以下ANA)。それを支えているのがANAテレマートだ。
国内外の航空券予約からマイレージカードに関する問い合わせまで、ANAの顧客対応を一手に引き受けている。
06年4月にシステムなどを刷新。「顧客との接点となる音声は重要」とヘッドセットの選定にもこだわり、数ある候補から長塚電話工業所の「エンタープライズ」シリーズを選んだのである。

「ANAのコンタクトセンターは顧客との最初の接点であり、『個々のお客様と対峙する』という理念を具現化する役割を担っています」。こう語るのは、ANAテレマート・ANA予約センター・国内営業部の大膳亮真澄マネージャーだ。
ここ数年、ウェブを介した搭乗予約へと推移している中、予約センターへの問い合わせには込み入った内容が増え、通話も長時間化。しかも業績好調のANAでは問い合わせ件数は増加傾向にあり、年間1400万ものコール数にコミュニケーターが対応している。
こうした背景から、ANAテレマートはCSの向上を目指し、昨年7月にシステム刷新に着手。今年4月に稼動を開始した。
リニューアルポイントは、システムのIP化や問い合わせ内容ごとに分かれていた電話番号の一元化など。「CACAO(カカオ:Customer And Communicators ANA Organizer)と呼ばれる独自システムを構築し、引継ぎなど顧客単位での完全対応を実現した。
今回のシステム刷新で特に注力したのがES(従業員満足)アップ。
コミュニケーターの満足度を向上させることが、CSアップにもつながると考えたためである。
例えばアプリケーションでは、外部デザイナーに参加してもらいアイコンの表現1つにもこだわったほど。「デザイン性を重視したことで、女性にとっては楽しく仕事のできる、かなりいいものになりました」と大膳亮マネージャー。
システム構築を担当したNTTコミュニケーションズも「ここまでユーザーインタフェースにこだわった例は過去にない」と舌を巻く。
ヘッドセットを多方向から選定

こうした"こだわり"は、顧客接点のインターフェースである重要なヘッドセットにも向けられた。「コミュニケーターにとって最も重要なインターフェースはヘッドセット」と判断。
NTTコミュニケーションズと電話インフラを担当したネクストコムの協力を得ながら、妥協のない選定作業を行なったのだ。
選定に際してはいくつかの基準を設けたが、最優先したのは音声品質。主観と客観の両面から数社のヘッドセットをテストした。実際に耳で聞いた音声を5段階で表し、その平均値で品質を評価。「響いた感じはないか」「こもっていないか」などの観点から、システム構築に携わった関係者だけでなく、コミュニケーターも交えての徹底したチェックを行なった。
ネットワークを経由した音声品質評価に、MOS方式、PSQM方式といった評価基準を採用するほど高いクオリティを追求しているため、ヘッドセットにおいてはその再現性を考慮して各モデルを比較した。
最終的に残った2モデルについて、固定/携帯電話とアンプ有無の組み合わせによる4ケースで評価。さらに、装着感や操作性、使用環境など様々な視点から比較を重ねた結果、
選定されたのが長塚電話工業所のヘッドセット「エンタープライズ」シリーズである。
70年の歴史が培った高度技術の蓄積
大好評のヘッドセット「エンタープライズ」シリーズ

「エンタープライズ」シリーズの開発元、長塚電話工業所は1937年創業。約70年に亘り、電話機ひと筋に取り組んできた同社製品には長年の技術やノウハウが余すことなく盛り込まれている。
今回、ANAテレマートに採用されたヘッドセットは、エンタープライズ「EN-M」シリーズ。
機能や操作など、様々な面にこだわったモデルだ。
例えば、音声品質はメーカー機器によって、受話/送話レベルが異なる。
EN-Mシリーズでは、送話レベルに応じた3つのラインナップを用意。
電話機との最適なマッチングにより、快適な通話環境を実現可能である。
高音質化のためノイズキャンセリングも搭載している。この機能はマイクの指向性を高めて話者の音声だけを拾う技術で、マイクがきちんと口元に向いていることが不可欠。
ずれていると相手に声が聞こえなくなるケースもある。
EN-Mシリーズにはマイク部分に突起を作り込まれており、送話口の方向を確認できる工夫がなされている。
また、「堅牢」「軽量」といった使用感にも長塚電話ならではの特徴がある。
頭に装着するヘッド部分が独特の曲線を描いており、これはエルゴノミクス(人間工学)の観点から考えられたもの。軽さと科学的に考えられた装着感の相乗効果により、長時間の使用にもストレスがたまらない。

本文でも触れたように、オプション関連が充実しており、「ボリューム・ミュート付カールコード」を使えば、手元での操作が可能となる。イヤーパッドとマイクカバーは、ブラック/ブルー/ピンク/オレンジを揃えている。ヘッドセットの大手は海外メーカーがほとんど。長塚電話は「サポート体制も充
実させています」(ソリューション事業部の目黒充明部長)と、国内企業ならではのきめ細かいアフター対応を期待できるので、万一の場合にも安心といえる。
全員一致で選ばれたモデル

決め手は、ヘッドセットの「使用感」や「装着感」の良さ、細かい配慮がなされている点、日本のメーカーである点だったという。
このような選定を経て採用されただけに、「長時間のコールでもストレスのない通話が可能で疲れません」(ANA予約センター・国際営業部の天野江里子氏)とのこと。
操作感では、オプションのケーブルを使うことで、ミュートやボリューム調整などを手元で操作できる点を評価。
「通話中に咳払いをしたい時など、瞬間的に音声を消すのにミュートはよく使いますし、お客様によって声の大きさは様々でボリューム・コントロールも欠かせません。こうした操作を手元で行なえ、とても利便性が高いですね」(ANA予約センター・国内営業部の山田ゆみこ氏)と満足感は高く「ミュートなどの操作音がお客様に聞かれない、といった細かな点への配慮も気に入りました」(山田氏)。
ダブルモニタの設置など、コミュニケーターの作業環境は意外に狭い。このためデスク周りの使い勝手も選定ポイントの1つとなった。
この点、エンタープライズシリーズはアンプがなくとも、音声品質が変わらない。
アンプが不要なためデスク上を広く利用でき、作業環境も確保できる。また、ヘッドセットのアンプがないので電池交換の必要がなく経費削減につながっている点も大きな魅力だという。
装着感で最も評価したのは軽さ。
標準勤務で8時間、最低でも5時間はヘッドセットを装着していなければならないというだけあって、軽さとフィット感にもこだわった。「軽量、かつ心地いい装着感の両立が評価ポイント」(大膳亮マネージャー)になったという。
この他、マイクカバーやイヤーパッドの多色展開にも注目。
標準的な黒色以外にもカラフルな色を用意、コミュニケーターの大半を占める女性に人気だ。
ANA予約センターでは、レベル別に色分けしており、一般コミュニケーターが早く他の色を使いたいとレベルアップに励む、といった副次的な効果もあった。
導入から約4カ月。「不満があればすぐに伝わってきますが、そうした声は一切ありません」(大膳亮マネージャー)とコミュニケーターの評判は上々だ。
ANAの業績アップに伴い、同センターの重要度は増すばかり。これからも、長塚電話工業所のヘッドセットがESにつながりCSアップに大きく貢献することは確かだ。
【月刊コンピューターテレフォニー】2006年9月号(P.8~9)にANAテレマート株式会社様の導入事例を掲載させて頂きました。


